Japanese Castle

本丸・天守台

【本丸跡】
 標高約88mの最高所に位置するほぼ方形の広大な本丸跡。北西隅に天守、それ以外の隅には二重櫓が建てられ、それらの間を多門櫓で結んでいた。また、曲輪内には本丸御殿が建てられていた。機能していた期間は僅か7年程にも関わらず、大規模な改築が行われており、南面と西面が拡張されていた事が分かっている。
【北側の眺め】
 本丸からの北側の眺め。名護屋城のすぐ北側には玄界灘が広がり、壱岐や対馬を一望出来る。当時は諸大名がここから出兵して行った。『太閤が、睨みし海の 霞かな』との石碑が建てられているが、秀吉につきあうのも大変だったろうな。
【天守台】
 本丸北東隅に建てられていた天守台跡。基本的には野面積みの石垣で築かれている名護屋城の中で、この天守台と本丸旧石垣の一部、遊撃丸にのみ割石積みの石垣が築かれていたが、天守台は象徴的な部分と言う事もあり、特に徹底的に破壊され、石垣は殆ど残っていない。古絵図などから、当時はこの天守台上に秀吉の城としては珍しい白漆喰の五重七階の天守が建てられていたと見られ、周囲からは金箔瓦も見つかっている。

【天守台内側】
 天守台は21m×18m程の規模の穴蔵形式で、現在は破城により僅かな段差しか残っていないが、当時は1.6m程の石垣で囲まれていたと考えられている。内部からは礎石が16個見つかっており、床面には玉石が敷き詰められていた。現在はそれらの遺構は埋め戻され、その上に礎石と玉石敷が復元されている。また、虎口は現在見られる東側の他に南東側にも一箇所見つかっており、改修によって変更されたものと考えられている。
【天守台】
 天守台は徹底的に破城されており、現在は簡単に直上出来る位にまでなってしまっている。当時は高さ10m以上の高石垣だったのだろうな。
【本丸大手門跡】

 本丸の東側、三ノ丸との間に設けられた大手門跡。左に折れる規模の大きな枡形門で発掘調査の結果、門の礎石や石段の他、大量の瓦なども見つかっている。何度か改築されているらしいが、現在は最終時期の門跡に整備されている。
【東側石垣】

 本丸東側、大手にあたる三ノ丸方面に築かれている石垣。他の三面に比べると高低差は少ないが、ここもしっかりと破城されており、破城された石垣石が周囲に転がっている。
【本丸旧石垣】
 名護屋城は比較的短い期間しか使われていなかったが、随所に拡張、修築の跡が確認されている。本丸も南側と西側部分で15m程拡張されており、馬場に面した南側部分には、埋められた古い石垣の上部が現在も見られる。この石垣の折れのある一部が発掘されており、2m程の深さまで掘り下げて見れるようになっている。しかし、実際にはこの下に10m近くの石垣が埋まっているものと思われる。最も古い石垣と考えられている。
【本丸新石垣櫓台】
 本丸の南側の拡張された部分に建てられていた櫓台の跡。3間四方程の建物で、周囲の土台石の上に材木を置き、その横木に柱を立てて櫓を建てていたらしい。当時の遺構は埋め戻されており、現在見られる土台石と玉石は埋め戻した上に復元されたもの。
【南側石垣】
 本丸南面、馬場との間に築かれている石垣。高さ10m程の石垣が直線的に続いているが、ここも規則的に破城されている。この石垣は西面とともに拡張されてた部分。
【南西隅櫓跡】
 本丸南西隅に残る隅櫓跡。10m四方程の規模の大きな二重櫓で、北側は多門櫓と連結し、東側には付櫓が設けられていた。付櫓の東半分には玉石が敷かれている部分があり、ここから付櫓を経由して隅櫓に入っていたと考えられる。ここも徹底的に破城された後、盛土で完全に埋められていた。高さ10mに及ぶ石垣もほぼ原形をとどめていないが、解体調査の結果、石垣の間から寛永通宝が出土しており、江戸時代に破城されている事が確認されている。
【多門櫓跡】

 本丸西側の拡張された部分には、全長約55mにわたる長大な多門櫓が建てられていた。西面は破城されているが、幅は8m程で、その西側に玉石敷の通路が設けられていた。この辺りからは破城の際に廃棄された大量の瓦片が見つかっており、現在はそれらの遺構の上礎石と玉石敷が復元されている。
【西側石垣】
 本丸西側の二ノ丸との間の石垣。この部分も南面同様拡張された部分で、当初は天守からの横矢を効かせていたが、拡張された事により天守台の張出しがほぼ無くなってしまっている。その代わりに多門櫓が建てられ堅固に守っていた。
【北ノ門跡】
 本丸の北東隅に設けられていた北ノ門の跡。本丸には三ノ丸からの大手門の他に、北ノ門が設けられており、水手口から直接登城する事が出来た。それなりに堅固な門だったのだろうが、防衛的にはかなり微妙。
【北側石垣】
 本丸北側、水手に面する石垣。二段になっているような箇所もあるが、当時からこのような形状なのか、破城の跡なのかはよく分からない。